ほとんどLDKは1階にある。
今回、岡山都市研究楽団(タルト不動産とstudio junaのユニット)は、岡山の住宅におけるLDKについて考えたいと思います。
LDKと一括りにしまうこと自体どうなんだということもありますが、ここでその議論は置いといて、生活の中心となる場所を、分かりやすくLDKとします。
どういう話かというと、僕は東京から岡山にUターンしてきたのですが、岡山の住宅を見ていて一番不思議だったのは、1階にLDKがある家がほとんどだということ。
僕は東京にいたとき、都内で狭小住宅をよく担当していました。小さなものでは土地の面積が約10坪、建坪5坪という家もありました。
岡山にいると分かりにくい価値観かもしれないのですが、都心部の一等地、魅力的な街、アクセスの良い場所に小さな土地を安く買って、限られたスぺ-スを工夫しながら、おもしろい家を建てたいという需要はかなりありました。
また、厳しい制約を受ける中で住宅のデザインをするということは、暮らしの中で本当に必要なものは何か、真剣に考えることになるので、とてもいい経験になりました。
ちなみに都内の狭小住宅は主に3階建て。
電車で移動する人が多いので車を持たない方もいらっしゃいますが、3階建ての住宅の1階は、日当たりも良くないので、ビルトインの駐車スペースや、ベッドルームがきて、2階や中には3階にLDKを配置する場合もあります。
上階にLDKを配置する理由は主に以下の感じ。
・陽当たりが良い。
・眺めが良い。
・通行人の視線を気にしないでいい。
東京という特殊な環境ではあるし、仕方なく2階にLDKを置いている人もいると思いますが、1階より、2階と考えるのは自然でした。
岡山に帰ってきて、戸建の住宅を見ていると、LDKはほとんど1階にありました。
タルト不動産に掲載している戸建住宅は今、40件あります。
その中で、2階にLDKがある家は1件だけ。
それも狭小地に建つ住宅で、1階に事務所とガレージがあるから、2階にLDKがあるんです。
●小さな事務所と大きな住居 120,000円/月・5SLDK(262.69㎡)岡山県岡山市北区白石
土地に余裕があると、1階にLDKと考えるのが普通なんだと思います。
では、なぜ1階にLDKがあるといいのか、何人かの人にヒアリングしてみました。
・上り下りしないで楽だから。(老後のことも考えて)
・子供がリビングを通って、個室に行けるから。
大体予想していた反応なのですが、みなさんおっしゃるのは、1階にLDKがあるのは当たり前で、2階なんて考えたことがないというのです。
あるハウスメーカーの方にも、なぜ2階LDKの家ってないんですかと聞いてみました。
すると、「お客さんから要望がないから特に提案していない。」とのこと。
僕が違和感を感じるのはココなんです。
1階にLDKがあるというのが当たり前になっていて、他の可能性を知らない、考えていないのではないかと。
僕は決して、1階LDKを否定しているのではありません。その方が良い時もたくさんあります。でも、2階LDKが良い時もあると思います。
例えば岡山の住宅もコンパクトになっているし、お庭のある家も減っています。LDKの目の前が道路ということもあります。これではカーテン閉めっぱなしの閉鎖的なLDKになってしまう気がします。(それが良いという方は別)
東京にいたからじゃないかと言われるかもしれないけれど、そうでもなくて。
倉敷にある僕の実家は2階にLDKがあります。
2世帯住宅だったから、1階に祖父母、2階に両親と私と弟が暮らしていました。
周りが田んぼだから、風通しが良くて、日当たりが良くて、カーテンはほとんど開けっ放しで、気持ちの良い場所でした。
今、住んでいる総社の家は1階にお店があって、2階にLDKがある狭小住宅ですが、とても気に入っています。
僕はいつからか高い場所でくつろぎたいと思っているところがあります。
長くなったのですが、言いたかったのは、あまりにも1階LDKが当たり前になりすぎているんじゃないかということ。
2階LDKを考えることが、より自分たちのライフスタイルを考えることにつながって、納得いく家をつくるきっかけになるのではないかと思うんです。
例えば2階LDKには、子供がLDKを通らずに個室に行ってしまうというデメリットがあるとしたら、そもそも子供が自然と集まりたくなるような居心地の良いLDKが2階にあって、ちょっと陽当たりが悪いくらいの個室を1階につくったらどうなんだろうとか。。
どんな住まいにしたいか、どんな暮らしをしたいか考えると、住宅のデザインも変わってきます。
今回はこんなことを、岡山都市研究楽団メンバー、studio junaの重名くんと考えてみたいと思います。
ぜひ、みなさんの色んな意見を聞かせてください。
みやけ