2015.12.07 update
現在、岡山都市研究楽団で扱っている研究テーマは「住宅におけるLDK」についてです。
ここまでの話の流れはこちらを上から順番にご覧ください。
ほとんどLDKは1階にある① text by タルト不動産
これからの住まいについて その1 text by studio juna
これからの住まいについて その2 text by studio juna
ほとんどLDKは1階にある② text by タルト不動産
今回はstudio junaによる「これからの住まいについて その3」です。
重名くんが自分で付け加えていった、細かな条件がいい感じ。
ポイントは「小さい」、「ローコスト」、「可変性」かなあ。
ぜひ読んでみてください。
みやけ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
現在総社市で売りに出ている実際の土地に、2階にLDKがある住宅を考えてみようという今回の計画。
タルト不動産からの提示された条件は
「2階にLDKがあって、延床面積25坪くらいでローコスト」というシンプルなものでした。
できるだけリアリティのある提案にしたかったので、以下の条件を僕が勝手に付け加えました。
ローコストを実現するために
1 基礎の面積をなるべく小さくする。(基礎はコストが高いので)
2 配管経路を短くする。(水回りを分散させない)
3 シンプルな形状とする。(工期短縮につながる)
4 間くずれさせない。(材料の無駄をなくす)
デザインのために
5 コートハウスにしたり、不自然な高い塀で覆わない。
(周囲に対して閉じることでプライバシーを確保するのは今回は無し)
6 子供部屋は最小限の広さでリビングに隣接。
(子供が小さい時や出ていった後にリビングとしても使えるように)
7 1階の部屋は寝室を想定しているが、他の用途にも使えるようにしておく。
(小さなオフィスや店舗、教室としても使うことも想定しておく)
8 間仕切りや建具は最小限にしておく。(竣工時を完成とせず、つくりながら暮らしていく感じ)
9 自然環境を意識する。(日射、風、雨など)
他にも、水回りはなるべく広く、道路に対して垂直に2台駐車できるように、などの
細かい設定もちらほらとありますが、特に気を使ったのは上記の9個です。
条件を増やしたばっかりに300案以上のスケッチをするはめになりました・・・。
未だにしっくりくる案にはなっていないのですが、その経過も含めて書いていこうかと思います。
(しっくりこない理由は明白で、「だれが住むか決まっていないから」ですが、これについては今回は割愛)
25坪(約83㎡)の住宅というのは、岡山の人にとっては小さく感じるかもしれません。
面積は小さくても、丁寧に計画すれば狭さを感じることはありません。
小さな家でコンパクトに暮らし、余った土地に庭を作ったり野菜や植物を植えて育てる生活はとても豊かです。
ちなみに、岡山市中心部にたくさん建っているタワーマンションの1住戸が75~100㎡くらいだと思うので、
面積的にも決して狭いわけではありません。
その1でふれた51Cに関しては35㎡しかないのですから、
4人家族くらいなら25坪もあれば十分なのではないかと思います。
余裕のある敷地に小さな家を計画することは、
都会ではなかなかできないとても贅沢な行為だと思います。
営業の人に言われるままに無駄に大きな家を建てる必要はないのです。
各条件をもう少し詳しく説明すると、1~4に関しては、工事を単純化してコストを下げましょうということ。
5については、コートハウス(中庭型)にしたり高い塀で囲うことで、
プライバシーを確保しつつ太陽の光を取り入れることはできるのですが、
計画として安易だし、今回の住宅地でそれをやると妙に閉じた外観になりそうなので
近所からの印象もあまり良くないのではと思い、今回は自分ルールで禁止にしました。
外壁面が増えるのでコストも上がります。
6~8については、タイトルにもあるように、
僕がこれからの住まいについて勝手に思っていることなのですが、
「可能性を残しておくこと」がひとつの方法なのではないかと考えています。
リビングの一部が子供部屋にもなり得る、1階の部屋を2つに分けて書斎をつくる、
子供が独立したので寝室を2階に移動して1階をアトリエにする、など
大規模な工事を必要とせずに簡単に変更できるようにしておくことで
自分らしい住まいをつくることができるのではないかと考えています。
その1で「nLDK」を批判しましたが、それはnに2や3の定数を当てはめて計画しているからで
nをnのまま残しておく「nLDK」の住まいが良いのではないかと気付きました。
(これまた分かりにくいので伝わるか心配ですが・・・。)
nは生活に合わせて変化していけば良いのです。
また、家だからといって「住む」ことだけに使わなくてもよいのです。
「働く」や「つくる」「売る」「買う」「教える」などの様々なふるまいが住まいの中に入ってくることも、
いきいきとした住まいをつくることにつながると思います。
自分のオフィスや教室として使用しても良いし、信頼できる人に貸しても良いです。
1階に比較的自由にできる部屋をもつかたち、つまり2階にLDKがある住まいは
そういったことにも向いているのではないかと思います。
地域と積極的なつながりを持った新しい住まいのあり方も見えてくるかもしれません。
9については四季のある日本では当たり前のことです。(無視している人も多いのですが・・・。)
以上のようなことを考えつつ、計画中です。
text by studio juna
2015.11.17 update
現在、岡山都市研究楽団で扱っている研究テーマは「住宅におけるLDK」についてです。
ここまでの話の流れはこちらを上から順番にご覧ください。
ほとんどLDKは1階にある① text by タルト不動産
これからの住まいについて その1 text by studio juna
これからの住まいについて その2 text by studio juna
studio junaの重名くんも書いていますが、僕も条件がそろえば1階にLDKがあっても良いと思います。
お庭と連続したLDKは開放的で気持ちいいし、階段の上り下りもないから楽だし。
でも、僕は岡山の不動産を見ていて、1階にLDKがあって、それがうまく機能している家って、少ない気がします。
というのも、タルト不動産は総社に事務所があるんですが、ちょっと街を車で走れば、そこら中で宅地分譲の開発が行われていることに気付きます。
そして結構、売れています。新しい戸建がどんどん建っています。
僕が見る限り1階にLDKのある家が、100%近いと思います。
総社市内にある売地面積の多くは、40坪後半~60坪あたり。
こういったコンパクトな土地で、1階にLDKを設けると、そんなにお庭もつくれないし、目の前が道路ということもあるから、カーテンを閉め切って生活をしているのではないでしょうか。
もしかしたら、これだけ家が建っているんだから、2階にLDKをつくって、明るく開放的な場所でくつろぐことができるようなプランを提案していたら、そっちが良いと思う人も少しくらいいるんじゃないかなあと思ったり。
そんな現状から、僕もそろそろ東京での経験を活かして、土地探しからの家づくりをやりたいと思い始めました。
一緒に土地を見ながら、家のことを考えながら、予算のことも考えながら、住まいをつくるってどうでしょう。。
別に2階LDKの家を売りたい訳ではありません。
何度も言いますが、1階LDKが良い場合も、もちろんあります。
誰もが分かりやすいLDKを考えることが、より自分たちのライフスタイルを考えることにつながって、納得いく家をつくるきっかけになるのではないかと思うんです。
ここからはいつもの感じで、岡山都市研究楽団の仲間、studio junaの重名くんにキラーパス。
総社の分譲地を見ていると、最後どうしても売れ残っている土地があります。
例えばこちら。
No.20・11,388,300円・179.30㎡(54.23坪)
No.11・13,811,700円・217.43㎡(65.77坪)
岡山県総社市駅前1丁目
24区画ある分譲地の残り2区画。大体、残ってしまうのは北道路の一番奥。
特にNo.20は土地面積54坪なので、北側に駐車場をつくると、建物は南に寄ってしまうから、1階にリビングをつくると日当たりが悪くなってしまいます。
じゃあ、2階にリビングをつくったらどうだろう。
もし住宅のデザインによって、デメリットを解決できれば、気に入ったエリアで安く土地を手に入れて、トータル予算を抑えたり、建物にお金を掛けたりできるはず。
重名くんどうかな?
みやけ