自分を見つめなおす、デザインと機能性
お店をオープンするにあたって色々な準備をしてきましたが、その中で12年使ってボロボロになっていた名刺入れを新調することにしました。
何にしようかと、相当数見て触って1ヵ月くらい迷って決めたものがこちら。
CORGA http://corga.ruboa.com/index.html
最初、ネットで画像を見つけて、明らかに他の名刺入れとは違うシャープなデザインに魅かれました。素材は牛皮、カラーはムーミンみたいなブルーグレイを選びました。
どうやって、名刺を収納しているかというと、、、
中にマグネットが仕込まれていて、取り出すときはパタパタと開いていきます。
どう考えても名刺交換をするとき、時間が掛かるし収納できる枚数も20枚くらいだし、機能的ではないのではないかと思い、デザインに魅かれながらも3日悩みました。私は見た目のかっこよさだけだけのデザインというものがあまり好きではありません。機能性から考えられたデザイン、美しさが大切だと思っています。
なぜ、この名刺入れにしたかというと、自分を見つめなおして、機能性というものを考えなおしたからです。
以前、12年使っていた名刺入れは、皮が柔らかく、枚数もかなり入りました。だから気が付くと。名刺の整理もせずどんどんたまっていって名刺入れがパンパンに膨れていました。そこにモノに対する愛着は薄れ、美しさはありませんでした。こんな名刺入れの使い方をしている私をみて、お客様はどう思うだろうと考えたとき、これではダメだと思いました。
そして、このシャープな名刺入れに向き合ってみると、他には考えられなくなっていました。
そもそも20枚くらいしか入りませんから、こまめに整理せざるを得ません。
もう一つ、パタパタときれいに閉じられているため、名刺交換の際に少し時間が掛かります。さっと出せた方がスマートかもしれないけれど、ゆっくりでも丁寧に取り出してお渡しした名刺だって感じは良いのではないかと思います。
建築家 西沢立衛氏の著書でも、以下のように書いてありました。
「機能的であることを、(使いやすいかどうか)という問題ではなくて、「使いたくなるかどうか」もしくは「その空間は使いがいがあるかどうか」という問題と理解した。「機能→使いやすいかどうか」と翻訳すると、なにか機能というものが息苦しくなっていくというか、機能ということが利便性とか経済性みたいな方向になっていくが、「機能→その空間を使いたくなるかどうか」と思い直すと、それはもっと快楽的な問題となる。
デザインを考えることは、自分を見つめなおすきっかけになります。
三宅