「紙事」 渡邊さんの家 style_11
タルト不動産を利用してくださったお客さまに、その後の様子を取材させていただく企画。
11回目は、「紙事」の渡邊絢さんです。
渡邊さんは、「紙」を扱ったお仕事をされています。
最初に問合せをいただいたのは、2016年の6月でした。
実家のある九州から電車を乗り継いで、総社のタルト不動産まできてくれました。
―どうして岡山へ移住しようと思われたんですか?
「仕事柄、全国の色々な場所にいく機会があります。
その度に、どこか落ち着いて生活のできる場所を探していました。
長野県や山梨県など、いくつかリストアップして、賃貸情報を見たりしていました。
そんな時に、パッと岡山のことを思い出しました。
岡山には何度か来たことがあって、良い印象を持っていたんだと思います。
改めて街を歩いてみると、住みたいと思うような家がいっぱいありました。
なんか良いかもしれないと思っていたら、ちょうど岡山で仕事の話がきたんです。
それから移住のことを真剣に考え始めて、物件を検索しているときにタルト不動産をみつけました。」
渡邊さんは、アトリエ兼住居となるような、戸建てで古くて小さな家を探していました。
最初にいただいたメールの中に印象的な言葉がありました。
「エリアとしてのこだわりはなく、縁がある場所と家に出会えたら、そこかな、という感じで思っています。」
渡邊さんにちょうど良さそうな、小さな平屋のことが思いつきました。
お話をうかがったあと、そのまま内見へ行くことになりました。
タルト不動産では、「改装可・60’S平屋」というタイトルで紹介していた家です。
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―内見してみていかがでしたか?
「土壁の色や、床の間の感じが、小さい頃大好きだった祖父母の家によく似ていたんです。
ただいまっていう感じでした(笑)。
間取りもちょうど良くて、それぞれの部屋にちゃんと役割ができそうでした。
うん、はじまるな、という気分になりました。」
―住み始めてみていかがですか?
「8/1に引っ越してきたので、半年くらい経ったのですが、もっと長く住んでいる気がします。
オーナーさんが、引っ越し前には近隣の方へご挨拶をしてくださっていました。
だからご近所さんとはすぐに仲良くなることができて、夏にはすだれをつけてくれたり、食べ物を差し入れしてくれる方もいます。
女性の一人暮らしなので心配なこともあるのですが、守られてるなあと感じます。」
「庭では野菜やハーブを植えています。
買わないでもいいくらい、よく育つんですよ。
今は麦にチャレンジしています。」
―どうして紙を使った仕事をするようになったんですか?
「以前は編集の仕事をしていました。
でも、全然違う部門へ異動になったことをきっかけに、今後の仕事について考えました。
私は小さいころから「紙」を集めることがすごく好きなんですが、どうにか紙に関係した仕事ができないかと思うようになりました。
そんな時に友達からもらったクライスターパピアを思い出しました。
クライスターパピアは、南ドイツを起源とする中世の紙染め技法のことです。
自分でもできるようになりたいと思い、すぐにドイツへ行って修行してきました。
日本に帰ってきてからは、紙を使った様々な仕事をしています。」
クライスターパピア:渡辺さんの作品
―岡山ではどんな活動をされていますか?
「KAMIORI KAORIさんのブティックでは『あなたのローマ字を整える』という文字の教室を行っています。
例えば手紙を読むと、その人の筆跡だからこそ言葉が声となって聞こえてきます。
お手本通りの文字ではなくて、人それぞれの気配が感じられるようなローマ字を探すお稽古の場です。
カリグラフィーの道具をベースにしつつも、ルールやテクニックに囚われない自分にしっくりとくる文字を一緒に探してゆきます。
ちょっとした一言やサインを、ひと手間さらっと書き添えるようになる日々を目指しています。
2月からは津山のVegetarian cafe Bonheur ボヌールさんでも行っています。」
「 紙事 」 instagram
かみごと【紙事】
《名》1.人が生まれたときから装備しているはずの感覚や勘のようなものを思い出させたり引き出すための紙しごとをするひと 2.紙でさまざまな間をつなぎ、残してゆくガイド。 3.“人と人”、“過去と現在”、“現在と未来”、“国と国”や“人と忘れ去られそうな小粋な習慣”などを紙を使って繋げるべく、紙で様々な試みをしているところの屋号。紙を折ったり、切ったり、選んだり、染めたり、紙に書いたり、紙にまつわるあらゆる方法を組み合わせて紙しごとを行なう。4.別名、“紙の人”ともよく言われる。
(All photos by タルト不動産/タルトデザイン)