blog

これからの住まいについて その3

現在、岡山都市研究楽団で扱っている研究テーマは住宅におけるLDKについてです。

ここまでの話の流れはこちらを上から順番にご覧ください。

ほとんどLDKは1階にある① text by  タルト不動産

これからの住まいについて その1 text by studio juna

これからの住まいについて その2 text by studio juna

ほとんどLDKは1階にある② text by  タルト不動産

 

今回はstudio junaによる「これからの住まいについて その3」です。

重名くんが自分で付け加えていった、細かな条件がいい感じ。

ポイントは「小さい」、「ローコスト」、「可変性」かなあ。

ぜひ読んでみてください。

みやけ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

現在総社市で売りに出ている実際の土地に、2階にLDKがある住宅を考えてみようという今回の計画。
タルト不動産からの提示された条件は
「2階にLDKがあって、延床面積25坪くらいでローコスト」というシンプルなものでした。

できるだけリアリティのある提案にしたかったので、以下の条件を僕が勝手に付け加えました。

ローコストを実現するために
1 基礎の面積をなるべく小さくする。(基礎はコストが高いので)
2 配管経路を短くする。(水回りを分散させない)
3 シンプルな形状とする。(工期短縮につながる)
4 間くずれさせない。(材料の無駄をなくす)

デザインのために
5 コートハウスにしたり、不自然な高い塀で覆わない。
(周囲に対して閉じることでプライバシーを確保するのは今回は無し)
6 子供部屋は最小限の広さでリビングに隣接。
(子供が小さい時や出ていった後にリビングとしても使えるように)
7 1階の部屋は寝室を想定しているが、他の用途にも使えるようにしておく。
(小さなオフィスや店舗、教室としても使うことも想定しておく)
8 間仕切りや建具は最小限にしておく。(竣工時を完成とせず、つくりながら暮らしていく感じ)
9 自然環境を意識する。(日射、風、雨など)

他にも、水回りはなるべく広く、道路に対して垂直に2台駐車できるように、などの
細かい設定もちらほらとありますが、特に気を使ったのは上記の9個です。
条件を増やしたばっかりに300案以上のスケッチをするはめになりました・・・。
未だにしっくりくる案にはなっていないのですが、その経過も含めて書いていこうかと思います。
(しっくりこない理由は明白で、「だれが住むか決まっていないから」ですが、これについては今回は割愛)

25坪(約83㎡)の住宅というのは、岡山の人にとっては小さく感じるかもしれません。
面積は小さくても、丁寧に計画すれば狭さを感じることはありません。
小さな家でコンパクトに暮らし、余った土地に庭を作ったり野菜や植物を植えて育てる生活はとても豊かです。
ちなみに、岡山市中心部にたくさん建っているタワーマンションの1住戸が75~100㎡くらいだと思うので、
面積的にも決して狭いわけではありません。
その1でふれた51Cに関しては35㎡しかないのですから、
4人家族くらいなら25坪もあれば十分なのではないかと思います。
余裕のある敷地に小さな家を計画することは、
都会ではなかなかできないとても贅沢な行為だと思います。
営業の人に言われるままに無駄に大きな家を建てる必要はないのです。

各条件をもう少し詳しく説明すると、1~4に関しては、工事を単純化してコストを下げましょうということ。

5については、コートハウス(中庭型)にしたり高い塀で囲うことで、
プライバシーを確保しつつ太陽の光を取り入れることはできるのですが、
計画として安易だし、今回の住宅地でそれをやると妙に閉じた外観になりそうなので
近所からの印象もあまり良くないのではと思い、今回は自分ルールで禁止にしました。
外壁面が増えるのでコストも上がります。

6~8については、タイトルにもあるように、
僕がこれからの住まいについて勝手に思っていることなのですが、
「可能性を残しておくこと」がひとつの方法なのではないかと考えています。
リビングの一部が子供部屋にもなり得る、1階の部屋を2つに分けて書斎をつくる、
子供が独立したので寝室を2階に移動して1階をアトリエにする、など
大規模な工事を必要とせずに簡単に変更できるようにしておくことで
自分らしい住まいをつくることができるのではないかと考えています。

その1で「nLDK」を批判しましたが、それはnに2や3の定数を当てはめて計画しているからで
nをnのまま残しておく「nLDK」の住まいが良いのではないかと気付きました。
(これまた分かりにくいので伝わるか心配ですが・・・。)
nは生活に合わせて変化していけば良いのです。

また、家だからといって「住む」ことだけに使わなくてもよいのです。
「働く」や「つくる」「売る」「買う」「教える」などの様々なふるまいが住まいの中に入ってくることも、
いきいきとした住まいをつくることにつながると思います。
自分のオフィスや教室として使用しても良いし、信頼できる人に貸しても良いです。
1階に比較的自由にできる部屋をもつかたち、つまり2階にLDKがある住まいは
そういったことにも向いているのではないかと思います。
地域と積極的なつながりを持った新しい住まいのあり方も見えてくるかもしれません。

9については四季のある日本では当たり前のことです。(無視している人も多いのですが・・・。)

以上のようなことを考えつつ、計画中です。

text by studio juna