鉄のはさみ

日常的に使うものって、機能的でいて、デザインにもこだわりたいと思うのですが、結構前からしっくりくるはさみを探していました。

持ち手がプラスチックのはさみが多いのですが、ちょっと味気ない気がしていて。ダイレクトに鉄の素材を感じた方が気持ちいいんじゃないかなあって、大した話じゃないんですが何となく思っていました。

たぶん子供のときに、おばあちゃんが持っていた鉄の大きな裁ちばさみを使って、広告をざくざく切っていた記憶なんじゃないかなと思います。でも裁ちばさみを仕事で使うには大きいし、糸切りばさみだと紙は切りにくいし。その真ん中くらいのはさみがあるといいんだけどと思いながら、文房具屋さんや、雑貨屋さんに行くたびに探していました。

そしてついに見つけたんです。

G_3206

G_3209

全長約13センチ、ボールペンよりちょっと小さいくらいのサイズです。鉄のはさみで、持ち手のところだけ赤くペイントされています。まさにはさみというシンメトリーでシンプルなデザイン。微妙にカドが丸っこいところが絶妙だと思いました。

だいぶ年季が入っていて、ところどころ錆びています。でも試しに持っていた紙を切ってみるとサクサク切れました。何となく頭の中で思っていたイメージが、形になると本当に嬉しいんです。

1030242

このはさみは岡山の奉還町にあるakizuさんで買いました。タルト不動産をオープンするにあたって、グラスやスプーンなどもakizuさんで買い足しました。こちらのお店に行くと、ノスタルジックな気分になるのは間違いないけれど、それ以上にグッドデザインだし、次は僕が大切に使い続けていこうと思うのです。

これは僕が不動産に対する思い、考えとも同じなんです。

鉄のはさみは、いまペン立てにちょうどよく収まっています。

P1030483

「Y字路」の魅力

先日は「T字路」の物件を紹介しましたが、似たようなロケーションで「Y字路」にも強く魅かれます。

最初は横尾忠則さんの「Y字路」という作品に出合ったのがきっかけです。

3761389014_a798caf375
横尾忠則 猫のいるY字路( 2008年)

 

不動産や建築の仕事をしていると、たまにこのロケーションに出会います。やはりいびつな形がすごく違和感があって頭に残ります。そして右に行こうか左に行こうか、どっちへいこうかと思いめぐらせます。人生は常に選択の連続なのです。

Y字路は不動産の価値としてみると、形が鋭角になっていて使いにくいことから評価は低く売れ残っていることが多いかもしれません。しかしランドマークのようなロケーションですから建物は目立ちますし、ヴォリュームも変形する場合が多く、デザイン次第ではキャラクターになると思います。

実はタルト不動産の事務所も「Y字路」に建っています。そこに魅かれてこの場所を選んだような、そうでないような気がします。

 

みやけ

 

P1010106
T字路リノベーションハウス  29,680,000円 / 4LDK(156.56㎡) 岡山市北区春日町

 

P1020400
Y字路、雁行マンション R307・66,000円/月・1LDK(40.37㎡) 岡山県倉敷市笹沖

 

P1040197Y字路に建つ、8坪の狭小住宅 55,000円/月・3K(53.87㎡)岡山市北区富町

 

 

総社芸術祭2015 心のひだ・きびの美術 -遠との共鳴-於宝福寺

外出したついでに宝福寺(雪舟が修行したことで有名な)で開催されている現代アートの展覧会をみてきました。

明日5/6まで、総社では芸術祭を開催しており、いくつかの会場で芸術に触れることができます。

WS000000

48843_1_1240_0


 

今日は天気が良かったので、外の明るさと展示されている会場の薄暗さとのコントラストがよりくっきりしていて、とてもいい雰囲気でした。

現代アートの力強さと、それを包み込む歴史ある和の建築は素晴らしい共演でした。

芸術祭をしていない時でも宝福寺は、静かな中に鳥や虫の鳴き声とたまに伯備線が走る音が聞こえる穏やかなお寺なので、気分転換にはおすすめです。

会場は撮影禁止だったので、作品の写真はないのですが、お寺の緑がきれいだったのでそちらをいくつか。。

1010879

1010835

1010839

1010845

1010849

 

1010858

 

1010874

1010864

自分を見つめなおす、デザインと機能性

お店をオープンするにあたって色々な準備をしてきましたが、その中で12年使ってボロボロになっていた名刺入れを新調することにしました。

何にしようかと、相当数見て触って1ヵ月くらい迷って決めたものがこちら。

C-_Users_taartdesign_Desktop_IMG_3084CORGA http://corga.ruboa.com/index.html

最初、ネットで画像を見つけて、明らかに他の名刺入れとは違うシャープなデザインに魅かれました。素材は牛皮、カラーはムーミンみたいなブルーグレイを選びました。

どうやって、名刺を収納しているかというと、、、

C-_Users_taartdesign_Desktop_IMG_3074

C-_Users_taartdesign_Desktop_IMG_3069

中にマグネットが仕込まれていて、取り出すときはパタパタと開いていきます。

どう考えても名刺交換をするとき、時間が掛かるし収納できる枚数も20枚くらいだし、機能的ではないのではないかと思い、デザインに魅かれながらも3日悩みました。私は見た目のかっこよさだけだけのデザインというものがあまり好きではありません。機能性から考えられたデザイン、美しさが大切だと思っています。

なぜ、この名刺入れにしたかというと、自分を見つめなおして、機能性というものを考えなおしたからです。

以前、12年使っていた名刺入れは、皮が柔らかく、枚数もかなり入りました。だから気が付くと。名刺の整理もせずどんどんたまっていって名刺入れがパンパンに膨れていました。そこにモノに対する愛着は薄れ、美しさはありませんでした。こんな名刺入れの使い方をしている私をみて、お客様はどう思うだろうと考えたとき、これではダメだと思いました。

そして、このシャープな名刺入れに向き合ってみると、他には考えられなくなっていました。

そもそも20枚くらいしか入りませんから、こまめに整理せざるを得ません。

もう一つ、パタパタときれいに閉じられているため、名刺交換の際に少し時間が掛かります。さっと出せた方がスマートかもしれないけれど、ゆっくりでも丁寧に取り出してお渡しした名刺だって感じは良いのではないかと思います。

建築家 西沢立衛氏の著書でも、以下のように書いてありました。

「機能的であることを、(使いやすいかどうか)という問題ではなくて、「使いたくなるかどうか」もしくは「その空間は使いがいがあるかどうか」という問題と理解した。「機能→使いやすいかどうか」と翻訳すると、なにか機能というものが息苦しくなっていくというか、機能ということが利便性とか経済性みたいな方向になっていくが、「機能→その空間を使いたくなるかどうか」と思い直すと、それはもっと快楽的な問題となる。

デザインを考えることは、自分を見つめなおすきっかけになります。

三宅